【報告】 『おせっぺとみおか2015』成果発表会

 平成28年3月19日(土)『おせっぺとみおか2015』成果発表会を開催いたしました。約一年かけて取り組んできた「聞き書き」による作品づくり。富岡町でずっと暮らしてきた大先輩の「話し手」と、富岡町で育った現在高校生~大学生の「聞き手」、また聞き手をサポートしてきた先生方や学生たち、それぞれの立場で学んだことや得たことはどんなことだったのか。成果発表会は、それぞれの視点からの報告やインタビューを交えて行われました。
IMG_1230a
<当日のプログラム>
1. 開会の挨拶
2. 来賓のご挨拶 富岡町長より祝辞(富岡町役場職員による代読)
3. 学生サポーターによる「おせっぺとみおか」の活動紹介と報告
4. 「聞き手」による成果発表
5.  「おせっぺとみおか」2015年度作品集の贈呈式
6. 「話し手」に聞く、聞き書きのこと、町のこと
7. 講師、アドバイザーの先生からのコメント
8. 閉会の挨拶

 今回の成果発表会は、これまで「聞き手」のサポートをしてきた学生サポーターが中心となって企画しました。内容を少しご紹介したいと思います。

学生サポーター②

学生サポーターによる「おせっぺとみおか」の活動紹介と報告 
 これまで「聞き手」の子どもたちと一緒に研修やインタビューを受けてきた学生サポーターが、今年度の活動の紹介と報告を行いました。発表された内容には、第1回・第2回と行われた聞き書き研修の中で学んだことの報告もあり、「インタビューの極意とは、相手の目線になって考え、「過去」と「未来」をつなぐこと」「読み手を意識し、相手の言葉を使い「あれ」「これ」を具体化すること」「作品を読んだ時に富岡町の情景、話し手の生き様が第3者の目に浮かぶ文章構成を工夫すること」が大切だという話しや、第2回研修のまとめとして行われた振り返りの報告では、「聞き書きとは」をテーマとして「聞き手」と学生サポーター2人1組となって考えた内容が紹介されました。

聞き手4

「聞き手」による成果発表
 発表の中では、4人それぞれが、参加したきっかけや「私が聞いた話し手はこんな人です」という紹介、聞き書きを通して得たことなどを話しました。
 今回聞き書きに参加した子どもたちは、初参加の子と1回目を経験した子がちょうど半分ずつでした。参加したきっかけは様々ですが、完成した作品を前に、どの子も一回り成長したように感じます。
 聞き書きを通して得たことは、周りの協力があってこそ1つの作品ができるという、人と人とのつながりの大切さであったと子どもたちは言います。聞いたものを書き起こす作業は、思っている以上に大変なものです。けれど、最後までやり抜いたときの達成感は、大きな喜びとなり、これからの生活においても何かをやり遂げる自信につながったと話す子もいました。また、これからについて大切なことは、「未来へ伝えていくこと」という想いを皆が感じたそうです。
 今回の聞き書きをきっかけに、富岡町に触れ、そして今後もまだまだ知らない富岡の魅力を、聞き、書き、伝え、そして未来につなげていくのだと感じました。

IMG_1235a

「話し手」に聞く、聞き書きのこと、町のこと 聞き手:下村 健一 先生(元TBS報道キャスター)
 ここでは「話し手」をしてみた感想や、作品の中でのお話を深堀しながら、富岡町の伝統や暮らしのことなどをインタビュー形式で伺いました。作品の中では書ききれなかったことや、伝えきれなかった思いなど、会場を巻き込んで和やかな雰囲気の中、様々な話題が展開されました。「現在の状況」「世代による考え方や立場の違い」、「これまでの富岡町のこと」「未来の富岡町の姿」、そして「次世代を生きる「聞き手」の役割の重要性」などが主な話題でした。
 世代の違う「話し手」と「聞き手」が、「聞き書き」という手法を通して、お互いの考えを知ることができ、「話し手」にとっては次世代を担う頼もしい「聞き手」の姿が、「聞き手」にとってはこれまで富岡町を築き上げてきた先輩である「話し手」の誇らしい姿が映し出されたのではないでしょうか。インタビューを通して、両者にとって得ることが多い事業であったことが伺えました。

話し手②

来場者から
 最後に来場者からの感想をいくつかご紹介します。「非常に今後も続けてもらいたい。今後の進展がとても楽しみ。」「私も30~40代の中間世代として何ができるのか。聞き書き仲間としても応援しております。」「人の人生に触れるという体験ができたように思います。福島が、富岡がぐっと近くなりました。」「この事業のもっている意義を、くりかえし話せる場があるとよいと思います。」「今後の活動のサポートとして参加できるようであれば参加したい」「40代、富岡町出身の私にとって、宍戸さんの話の内容は共感する点が多々ありました。私自身、家を守る後継の立場であるにもかかわらず、一度富岡を出て進学就職を選んだというのが現実です。」など、来場されたみなさんにとっても、これまでを振り返り、そしてこれからを考えるきっかけとなったようです。

全体②

 最後になりましたが、関係者のみなさま、1年間お疲れ様でした。またご来場いただいたみなさま、ご参加いただき、どうもありがとうございました。『おせっぺとみおか』は、2016年度も継続実施できる方法を模索しております。継続実施が可能となった際には、また『おせっぺとみおか』を応援していただければと思います。

text:『おせっぺ とみおか 2015』事務局